第四章 いろいろな結晶作り


食塩・砂糖・硫酸銅




<< 食塩 >>


 食塩は、温度によって溶解度があまり差がないので、蒸発法で結晶を作ります。簡単に始められますが、大きくてきれいな結晶を作ろうとすると意外と難しいです。小さな結晶が付いたり、凸凹の状態になってしまいます。

(1) 飽和水溶液を作る
 飽和溶液は、ペットボトルにまとめて作っておくと良いでしょう。一番安い食塩を買ってきましょう。1.5リットルのペットボトルに食塩を500g近く入れて水かお湯を入れ、良く振ります。時々振りながら1〜2日ぐらい置くとほぼ飽和溶液ができあがります。

(2) 容器に移して結晶の育成
 プラスチックの容器が良いでしょう。理科室なら丸水槽を使うのも良いでしょう。家で作るならスチロールコップに半分ぐらいずつ数個に小分けして静かな場所に置きましょう。


<ポイント>
・できるだけ振動の少ない静かな場所に置く。
・容器に新聞紙を1枚乗せてふたをし、蒸発の早さを調節する。
・育成中はさわったり揺らしたりしない。(週に1回程度ようすを見る)
・液面の高さは、ある程度ある方が安定してきれいな結晶ができる。

(3) 液を替える
 週に1回程度観察し、細かい結晶が一面にできているようなら液を替え、底に溜まった結晶を取り除きます。形の良い結晶だけを少し残して種結晶として残していきます。

<ポイント>
・結晶を取り出すときは、水でぬらした割り箸で取り出す。
・飽和溶液は、上のきれいな部分を別な容器に移し、新しい母液とする。
・飽和水溶液に種結晶を入れるときは、軽く水洗いして入れる。
・作業は手早く行う。

 スチロールコップでは、形の良いものを1〜2個ぐらいだけ残して成長させと良いでしょう。順調にいけば1ヶ月で1cm程度の平べったい結晶ができあがります。
 食塩の飽和水溶液は、梅雨時のように湿度が高いときは、空気中の水分を吸収するようです。この時期は、種結晶が溶け出す危険があるので育成に適しません。乾燥する時期には、ふたの紙の枚数などで蒸発量を調節しましょう。

(4) 保存
 保存は必ず密閉された容器に保存しましょう。空気中の水分を吸って溶けてしまいます。



<< 砂糖 >>



 工場での氷砂糖の工程については米沢さん(*2)、ホットプレートを使って35℃で育成する方法は山田さん(*1)が紹介しています。
 温度差を使って結晶を育成する方法が一般的ですが、細かい結晶が出やすいので、現在は、スチロールコップを使った蒸発法で結晶を育成中です。



(1) 母液と種結晶を作る
 水100gに砂糖(できればグラニュー糖)を250g加えて小さな鍋で加熱して完全に溶かします。あまり温度を上げ過ぎないように注意しましょう。少し冷めてからスチロールコップに移し、ラップをして3日以上静かに置きます。壁面や底に結晶がいっぱいできます。

(2) 結晶を育成する
 形の良い結晶を種結晶としてテグス糸に結びます。飽和溶液は、新しい容器に移し、その中に種結晶を吊します。ふたは、ティッシュで覆い、輪ゴムで固定します。(アリが入らないように)さらに、牛乳パックの紙などでコップの口を4分の3ぐらいふたをして蒸発量を調整します。蒸発量が多いと、液面に幕のような結晶ができ、それ以上蒸発できなくなります。できるだけ少しずつ蒸発するようにしましょう。
 現在は、2mmぐらいの種結晶が2cm程度まで成長しています。果たしてうまくいくでしょうか?


<< 硫酸銅 >>


 硫酸銅は、比較的簡単に大きな結晶を作ることができます。青い色が付いているので生徒には人気があります。硫酸銅は有毒なので、家庭で作る場合は、他の食器などとは別な容器を使いましょう。廃液もなるべく出さないような注意が必要です。実験で使った廃液は、回収して日なたに置いておくだけでも結晶を作ることができます。蒸発法でも温度差を使う方法でも良好な結果が出ますが、寝かせ式の蒸発法がお勧めです。



(1) 飽和水溶液を作る
 ペットボトル(500ml程度)に硫酸銅の結晶を入れ、水を入れて良く振り、1日置いておきましょう。

(2) 容器に移して結晶の育成
 タッパーなどの底が平らなプラスチックの容器に1cm以上の深さに飽和水溶液を入れ、紙を一枚かぶせてふたをします。

(3) 液を替える
 そのままでもうまくいくことがありますが、平たい結晶になります。きれいな形にするためには、毎日液を替え、結晶の向きを替えるようにしましょう。きれいな結晶を数個だけ残し、下に溜まった余分な結晶は、ペットボトルに戻しましょう。液面が結晶の上に1cm以上になるように飽和水溶液の量を調節します。

(4) 保存
 結晶の保存は直射日光をさけ、密閉された容器に保存しましょう。直射日光に当たると、表面が水色の粉のようになります。これは、結晶水を含む青色の結晶が無水物に変化するからです。

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