相模川で岩石採取
神奈川県平塚市神川橋付近 1999.10.3

 川原に行くと、いろいろな石が落ちています。これらの石を良く 目をこらして見てみましょう。石は、いろいろなことを私たちに 語ってくれるはずです。

 神川橋の寒川側から土手沿いの道を下流に向かって歩くと、広い川原に出ます。この川原にある石は、相模川の上流から運ばれてきたもので、流域の歴史が刻まれています。とおい過去の歴史を思いながら石ころと語り合ってみましょう。

 この写真にうつっている石は、川原を30分ぐらい歩いて拾ってきたものです。私は、地学の専門家ではありません。岩石の名前も違っているかも知れません。間違ったことがあったら教えて下さい。

参考にした本:石ころのふるさと −相模川・酒匂川− 平塚市博物館
         石ころは語る 秦野地学研究会 夢工房
         酒匂川地学散歩 PAC Geo オールプランナー (県立の博物館)


鉱物のなかま

水晶(スイショウ)

川原で見つけた白い石を割ったら、中から透明な水晶の結晶が出てきました。水晶は、石英の結晶です。 大きさは、縦が6mm横が3mmぐらいでした。

石英(セキエイ)

 川原を良くみていると、白いすじが入った石を見かけます。 これも水晶と同じ成分でできていますが、脈状になっているときは白い色が多いです。他にも白い鉱物はありますが、硬くてガラスのように不規則に割れるのが特徴です。

角閃石(カクセンセキ)

 白っぽい石(灰色)の表面を良く見ると、黒い部分が 風化して凹んでいるものがあるました。中を割ってみると 緑がかった黒で、少し横からつぶしたような長い柱状の 結晶が出てきました。これが角閃石です。風化しやすいのできれいな形はなかなか見ることができません。


小仏層群の岩石

小仏層群は、神奈川県で最も古く、約6000万年前(白亜紀〜古第三紀)ごろ、日本の南側にあった四万十海溝という深い海に、川から流れてきた砂や泥が堆積(たいせき)したものです。堆積した砂や泥は、長い年月のうちに、海底といっしょに少しずつ移動し、日本にくっつきました。
頁岩(ケツガン)

白色の石英脈を含む黒色の頁岩で、小仏層群を代表する岩石です。深海で泥が固まったもので、粒は見えません。黒い色は、有機物の炭素の影響です。

粘板岩(ネンバンガン)

 古い泥岩が変化してできた黒色で、とても緻密(ちみつ)な岩石で、粒子は見えません。一定の方向にはがれるように割れるのが特徴です。

砂岩(サガン)

 茶色っぽい灰色の岩石で、小さな粒が見えます。これも、硬い岩石です。

礫岩(レキガン)

 全体的には、黄色っぽい灰色の岩石ですが、黒い頁岩のレキを含んでいます。レキの角は丸みがなく、角ばっています。これは、陸の川から供給されたものではなく、 乱泥流(海底で起きた地滑り)によって急激に堆積したと考えられています。


丹沢層群の岩石

約1500万年〜1000万年前、海底火山の活動が盛んだったころ、 たくさんの火山灰が堆積して凝灰岩ができました。 この凝灰岩は、青緑色をしたものが多く、グリーンタフと呼ばれています。詳しい研究で、 当時の火山は、ずっと南にあったことが 分かっています。火山岩(流紋岩・安山岩)はその当時に噴出した溶岩です。丹沢の山々は、これらの岩石がものになって、でできています。
凝灰岩(ギョウカイガン)

火山灰が堆積してできた岩石を、凝灰岩といいます。凝灰岩を作る粒の大きさや種類はいろいろあります。この凝灰岩は、とても小さな粒でできています。

凝灰岩(ギョウカイガン)

 凝灰岩の中には、レキを含むものもあります。このレキは角張っていることが多く、陸の川から来たものではありません。タービダイトと呼ばれる海底で起きた乱泥流(海底の地滑り)によって堆積したと考えられています。中には、火山岩のレキを含むこともあります。

流紋岩(リュウモンガン)

全体的に白っぽい石(灰色)で、中に石英の大きな結晶(斑晶:はんしょう)が見られます。火山岩のなかまで、火山活動ででマグマが地表近くで冷えてできたものです。

安山岩(アンザンガン)

 白っぽい石(灰色)の中に、白や黒い結晶が見えます。これも火山の噴火によってできた火山岩のなかまで、地表近くでマグマが冷えたものです。

安山岩(アンザンガン)

 赤茶色の岩石で、きらきら光る結晶(斜長石の斑晶)が見えます。これも火山岩のなかまで、地表近くでマグマが冷えてできました。赤色をおびているのは、溶岩が陸上で酸化したことを示していると考えられています。丹沢の海底火山が海面上にも姿を出していたことを物語っています。

変成岩(ヘンセイガン)

 凝灰岩などいろいろな岩石が、強い圧力や熱で変化した岩石を変成岩といいます。変成岩にはいろいろな種類があり、過去にどんな作用を受けたかを知ることができます。


深成岩のなかま

海底は、1年に数pずつ、日本に向かって動いています。約600万年ぐらい前、海底 火山の列は、日本列島に衝突し、丹沢山地ができました。その衝突でまわりの大地は大変動をし、下 からマグマが貫入(かんにゅう)し、地下の深いところでゆっくり冷えて固まりました。その後の地殻変動で、山が隆起(りゅうき)し、川などの浸食作用で地表に出てきたものです。深成岩は、 大きな結晶がきっちりつまったつくりをしています。
閃緑岩(センリョクガン)

全体的には、白っぽいごま塩のようなもようの石で、大きな結晶がきっちりつまってできているのが特徴です。深成岩は、丹沢の西の方でできました。


富士山の岩石

富士山は、数万年前から500年ぐらい前まで活動している火山です。溶岩は、黒っぽい色をしています。
玄武岩(ゲンブガン)

黒色で、穴がたくさん空いた石が玄武岩でできた溶岩です。溶岩が地表に吹き出したとき、マグマの中にとけていた気体が、吹き出して泡のようになり、そのまま冷えて固まったものです。

丹沢の古い地層にも、同じような溶岩がありますが、古いものは、穴の中に白い沸石などの鉱物を含むものが多いです。

玄武岩(ゲンブガン)

全体的に黒色の岩石です。茶色のガラスみたいなカンラン石の結晶が見られることもあります。

富士山は、玄武岩質の溶岩や火山噴出物が、交互に積み重なってできています。


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