五日市の化石
東京都西多摩郡五日市町  2000.2.27

 昔にアンモナイトが出たことがあるという情報を元に、五日市を歩きました。細尾(古生層)、岩井(中生代・三畳紀)、南沢・天然記念物・鳥巣式石灰岩の露頭(ジュラ紀)、樽(中生代・ジュラ紀)、五日市郷土館をまわり、最後に秋川で化石を探しました。

 


細尾の石灰岩 (古生代)
白っぽい石灰岩です。表面を磨いてみましたが、はっきりとフズリナと分かるものはありませんでした。

フズリナの化石(郷土館)
五日市郷土館に展示されていたフズリナの化石です。

岩井の沢(中生代・三畳紀)
戒能さんと沢の転石を調べましたが、アンモナイトの化石は見つかりませんでした。

エントモノシスの化石 (郷土館)
郷土館には「エントモノチス」と言う天然記念物の化石が展示してあります。中生代・三畳紀の示準化石です。

南沢・天然記念物・鳥巣式石灰岩の露頭
露頭の岩石より、足下に落ちている石灰岩の方が観察しやすいです。

六射サンゴの化石
下の川原の石灰岩からは、六射サンゴの見事な化石を見つけ写真を撮ってきました。水に浸けると表面のようすが見やすいです。

樽の露頭(中生代・ジュラ紀)
樽(たる)良平さんのお宅で許可をもらって見に行きました。

樽の石灰岩
石灰岩の表面を塩酸で溶かすと黒っぽい茶色でした。
樽の石灰岩の表面
表面を研磨して観察すると、層孔虫や卵の粒のようなつくりが分かります。

シダリスの化石(郷土館)
樽からはシダリスというウニの棘の化石が出てくるそうです。

五日市町立郷土館
五日市の郷土資料と代表的な化石が展示してありました。

クモヒトデの化石(郷土館)
五日市からは、古生代や中生代の他に第三期の化石も多く出てきています。

 

 昨日、五日市にアンモナイトの化石を求めて行って来ました。でも、見つけることはできませんでした。

 大磯からは2時間弱で武蔵五日市に着きました。化石を求めて全国を歩いている戒能さんという方と待ち合わせをして、朝の7時前には、最初のポイントへ。

■細尾(古生層)

 地学ガイドに載っている場所です。細尾のバスの折り返しから小さな沢を少し登った所に白っぽい石灰岩がいくつか落ちていました。露頭は、竹藪の中だと思うのですが、発見できませんでした。フズリナが入っているというのですが、はっきり区別しにくいです。一応、家に持ち帰って、薄いお酢に3時間ぐらい浸けてみましたが、まだ、見にくいです。

■岩井(中生代・三畳紀)

 平井川をはさんでセメント工場の反対側の山からは「エントモノチス」と言う天然記念物の示準化石が産出されます。論文によると、このあたりからアンモナイトの化石が10個見つかったという報告があるそうです。2つの沢を登りながら転石を調べましたが化石らしいものは見つかりませんでした。

■南沢・天然記念物・鳥巣式石灰岩の露頭(ジュラ紀)

 山の斜面に石灰岩の露頭がありました。崖の下には、風化した石灰岩があり、表面が観察できましたが、何が入っているかは分かりませんでした。ここの石灰岩は、黒っぽい茶色で、陸に近い所で堆積したと考えられているそうです。

 下の川原の石灰岩からは、六射サンゴの見事な化石を見つけ写真を撮ってきました。

■樽(中生代・ジュラ紀)
 
 樽(たる)良平さんのお宅に立ち寄りましたが、本人は不在で奥さんが丁寧に対応して下さいました。良平さんは、元学校の教諭で、化石にとても詳しいそうです。また、息子さんは、神奈川県立博物館で学芸員をされているそうです。ここで貴重なシダリス(ウニ)や腕足類の化石を見せていただき、さらに
露頭での採掘の許可をいただきました。

 露頭は、林の中にありました。でも、露頭は、ハンマーで叩いてもとても砕けるようなものではありません。足下に落ちている石をいくつか叩いてみましたが、シダリスは出てきませんでした。結局、近くの沢で石灰岩を拾って持ち帰りました。家で良く見てみると、表面に層孔虫(サンゴによく似た形)の細
かいしま模様がいっぱい見えました。また、魚の卵のような小さなつぶつぶが沢山集まったじ状石灰岩も持ち帰りました。これは、生物起源ではなく、石灰分が小さな核を中心に固まったためにできたものだそうです。

■五日市郷土館

 郷土資料と代表的な化石が展示してありました。化石は、写真だけでなく、実物があるととても分かりやすいです。ここで、「五日市むかしむかし」と言う冊子を買いました。

--------五日市郷土館-------
 市内には、古生代から新生代の地層があり、これらから数多く発見されている化石も展示しています。特に二千五百万年前に生息していた海獣「パレオパラドキシア」の上顎骨は、ほぼ、完全な形で出土しており、世界的にも貴重なものです。

◇五日市郷土館 ・開館時間/9時30分〜16時30分 ・休館日/火・水・祝(水曜が祝日の場合は木曜も休館)・年末年始 ・入館料/無料 ・交通/武蔵五日市駅から徒歩約17分、または桧原方面行きバス「五日市高校前」下車徒歩約3分 ・TEL042-596-4069
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■高尾橋周辺の川原(第三期)

 五日市では、いろいろな植物・貝・魚・昆虫・ウニ・ヒトデなど、いろいろな化石が出てきています。高尾橋周辺の秋川の川原を歩いて、黒い泥岩の転石を割って中を見てみると葉などの植物片が入っているものがありました。戒能さんは2枚貝の化石を見つけました。

 ここで赤と緑の2種類のチャートを拾ってきました。

 まあ、お土産は少なかったですが、古生代・中生代の石灰岩地帯を歩いて、とても勉強になりました。近くには、鍾乳洞なども多くありますので、また機会を見つけて行ってみたいと思います。


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