酒匂川(谷峨)の岩石の分類
神奈川県山北町谷峨駅付近の川原 1999.10.9

 川原に行くと、いろいろな石が落ちています。これらの石を良く 目をこらして見てみましょう。石は、いろいろなことを私たちに 語ってくれるはずです。

 御殿場線の谷峨駅で下車し、青い吊り橋に向かって酒匂川の方へ歩いていきましょう。川原に下りる道は、橋を渡って右に少し行ったところにあります。この川原にある石は、富士山や西丹沢から流れてきたものです。ここでは、中学で学習する岩石がほとんど見ることができます。標本を作ってみると良いでしょう。

参考にした本:石ころのふるさと −相模川・酒匂川− 平塚市博物館
         石ころは語る 秦野地学研究会 夢工房
         酒匂川地学散歩 PAC Geo オールプランナー (県立の博物館)


火山岩のなかま

 火山岩は、火山を作る岩という意味で、マグマが流れ出したりして急に冷えて固まった岩石です。大きな結晶(斑晶:はんしょう)が、粒が見えない小さな結晶やガラス質(石基:せっき)の中に散らばったつくりをしています。マグマが上昇してくると大きな結晶(斑晶:はんしょう)が成長し、その後、噴火によってマグマが急冷すると石基の部分ができるのです。

 この川原にある火山岩は、古い海底火山でできた西丹沢のものと、富士山の噴火によってできた玄武岩があります。

流紋岩(リュウモンガン)

 ガラスのような石英の大きな結晶(斑晶)が、白色の石基の中にあります。

安山岩(アンザンガン)

 灰色の石基の中に、白や黒の大きな結晶があるのが特徴です。西丹沢では、灰色の石基に、黒い長四角のカクセン石の結晶(斑晶)が入っているものが一般的です。

玄武岩(ゲンブガン)

 全体が黒っぽい岩石で、あまり粒は見えません。良く見ると、茶色のガラスのようなカンラン石が入っているものもあります。富士山から来たものが多いです。


深成岩のなかま

 600万年前、丹沢が、南の海からやってきて、日本に衝突し、地中でマグマが発生しました。このマグマは、地中でゆっくり固まったので、大きな結晶だけが、びっしりとつまったつくりをしています。この地下の深いところでできた深成岩は、その後、隆起(りゅうき)して丹沢の高い山をつくり、地上に姿をあらわしました。
花崗岩(カコウガン)

 西丹沢の石で目立つのは、ごま塩の石です。この石のなかで、白いものを花崗岩としましょう。

花崗岩は、透明な石英、白っぽい長石、緑がかった黒のカクセン石、(ウンモ)などの結晶からできています。

閃緑岩(センリョクガン)

 西丹沢では、もっとも一般的な岩石です。緑がかった黒の結晶で長い柱状の結晶は、カクセン石です。

ハンレイ岩

 ハンレイ岩は、深成岩の中で、もっとも黒い色をしています。川原の石は、どれも同じように見えますが、割ってみると中が真っ黒で、大きな結晶でできているのものがあります。


堆積岩(タイセキガン)のなかま

 海などで、砂などの粒が堆積して、長い時間をかけて固まった岩石を堆積岩と言います。この堆積岩には、粒の大きさで分類する方法と、粒の成分で分類する方法があります。

 谷峨の周辺の川原では、砂岩や礫岩(れきがん)の地層が見えます。これは、伊豆半島が衝突する前にできた海の溝(トラフ)に、陸地の川から多量の土砂が流れ込んで堆積したと考えられています。この地層からは、化石が出ることもあります。

泥岩(デイガン)

 1/16mm以下の小さな泥の粒が堆積してできた岩石です。

砂岩(サガン)

 1/16mm〜2mmの砂の粒が堆積してできてものです。

礫岩(レキガン)

 2mm以上の大きなレキ(小石)を含む岩石です。角が丸くなっているのは、川などの流れで、けずられたためと考えられます。

 谷峨の礫岩には、深成岩のレキが含まれています。これは、この礫岩ができたとき、すでに深成岩でできた丹沢があったと考えられます。

凝灰岩(ギョウカイガン)

 火山灰が堆積してできた岩石を凝灰岩といい、青緑のが一般的です。粒は、泥からレキまでいろいろな種類があり、さらに細かく分類することもできます。

 この凝灰岩は、海底火山の火山灰が海底に積もってできた岩石で、丹沢の大部分はこの凝灰岩でできています。


火山の噴出物

 火山の噴出物には、溶岩・火山弾・軽石・火山灰などがあります。谷峨の川原では、富士山からの溶岩やスコリア(軽石のなかま)を多く見かけます。富士山は、数万年前から500年ぐらい前まで活動している火山です。溶岩は、黒っぽい色をしているのが特徴です。
溶岩(ヨウガン)

 黒色で、穴がたくさん空いた石が玄武岩でできた溶岩です。溶岩が地表に吹き出したとき、マグマの中にとけていた気体が、吹き出して泡のようになり、そのまま冷えて固まったものです。

 丹沢の古い地層にも、同じような溶岩がありますが、古いものは、穴の中に白い沸石などの鉱物を含むものが多いです。

スコリア

火山の噴火によって、溶岩が空中まで吹き飛ばされてできた岩石で、軽石のなかまです。溶岩と同じように、多数の穴が開いています。

富士山は、玄武岩質の溶岩やスコリアなどの火山噴出物が、交互に積み重なってできています。


鉱物のなかま

石英(セキエイ)

 川原を良くみていると、白いすじが入った石を見かけます。 これは水晶と同じ成分でできていますが、脈状になっているときは白い色が多いです。他にも白い鉱物はありますが、硬くてガラスのように不規則に割れるのが特徴です。

角閃石(カクセンセキ)

 小石や岩石を割った小片を見ると、 緑がかった黒で、少し横からつぶしたような長い柱状の 結晶が見えるときがあります。これが角閃石です。風化しやすいのできれいな形はなかなか見ることができません。

砂の中の鉱物

 川原の砂を良く見ると、いろいろな鉱物を見ることができます。ルーペで砂粒を良く観察して見ましょう。

黄緑から茶色のガラスみたいな結晶は、カンラン石、黒くてキラキラと光る粒は、磁鉄鉱やカクセン石や輝石、茶色や黒で紙のように薄くキラキラと光るウンモ、白や透明の石英や長石などです。石英は割れ口がガラスみたいに凸凹で、長石は、割れ口に平らな面ができるのが特徴です。


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